2011年01月26日

カンタベリー・パズル

61. 銀の立方体[キューブ]

これまで紹介したパズルをやさしすぎると感じた方もいることだろう。最後にこれから抜粋し紹介するパズルは、そんな読者のためのパズルだ。これは正真正銘の難問であり、我こそはと、自分の知力によほど自信のある方にのみ挑戦していただきたいと思う。

「私どもの教区に住む未亡人の息子さん、ハーバート・スピアリング坊ちゃまが、一見やさしそうな算術のパズルを出題されました。ところが、その場にいた人は誰も解くことができなかったのです。

実を申しますと、私なんぞは自分で解いてみようという気さえおこりませんでした。と申しますのも、オックスフォードからいらした若い法律家の方が、なんでもたいへん数学に精通した立派な学者さんなのだそうですが、その方がみんなの前で答えられなかったのですから。そして、きっぱりと、このパズルには解がないと思うとおっしゃたのです。ところが、あとになって聞いたのですが、実はちゃんと解けるのだとか。もっとも、私の口からその保証はいたしかねますけれど。



ハーバートさまは、純銀製の立方体[キューブ]を二つお持ちになっておりました。お母様から借りてきたのだそうです。そしてこのキューブについて、どの一辺も2インチなので、ひとつだと8立方インチ、合わせると16立方インチになると説明なさいました。そこで自分の知りたいのはと、坊ちゃまは次のようにおっしゃったのでした。

『二つの銀のキューブの合計がちょうど17立方インチだったとします。そのときの二つのキューブの正確な大きさはいったいいくつになるのでしょう。わかる方はいますか?』」

言うまでもないが、解となる二つの立方体の大きさは相異なっていてもよい。

さて、大地主ダヴィッジ翁の生み出した「クリスマス・パズル・パーティー」は素晴らしいアイデアだったようだ。近頃のイブニング・パーティーにはブック・ティーズ(Book Teas)など、いろいろな余興が導入されているようだが、そうしたものにうんざりしている人たちや、パズルが大好きだという人たちの手で、この企画を復活させて欲しいものである。パーティーに参加した人たちの出題するパズルに解答し、その最優秀の解き手[ソルバー]に賞品を出すなんて、素敵ではないか。


合計するとちょうど17立方インチになる二つの立方体で、たがいに大きさの異なるものは無限に存在する。ここではその最小値となる解を紹介する。

ひとつは一辺が2インチ23278/40831で、もう一方は11663/40831インチである。検証したければ、それぞれの数を三乗[キューブ]して(すなわち、各数をそれ自身の数で2回掛け合わせて)足し合わせればよい。容積の合計が17立方インチになることがわかるはずだ。

「20. 医者のパズル」も参照のこと。

訳注:「2インチ23278/40831」の箇所は帯分数。

http://cbps.blog36.fc2.com/blog-entry-154.html


Posted by オボノボノ at 11:58│Comments(0)
 
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